診療報酬・介護報酬ファクタリング

診療報酬・介護報酬ファクタリング

基本的な構造は一般的な売掛金ファクタリングと変わりありませんが、取引先が国や官庁になるため、通常のファクタリングと区別されて取り扱われることが多いです。

診療報酬・介護報酬とは?

診療報酬
  • 医療機関や調剤薬局が社会保険診療報酬支払基金(社保)や国民健康保険団体連合会(国保連)から受け取る診療報酬を意味し、支払いサイトは通常約60日とされています。
  • 簡単に言ってしまえば、社長さんたちが健康保険で医療機関を受診した際に支払っている医療費(3割)を除く、残り7割が診療報酬として医療機関などに支払われています。
介護報酬
  • 介護保険事業者が国民健康保険団体連合会(国保連)から受け取る介護報酬を意味し、支払いサイトは通常約30日とされています。
  • 高齢者が介護保険の適用を受け、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(いわゆるデイサービスなど)を利用した際の、本人負担分以外の費用・報酬になります。

ファクタリングの対象範囲

国などからの報酬分に対する買取になりますので、医療機関における「保健適用外の自由診療」に関わる売上分はファクタリング対象外 になります。

一般的には自由診療分は診療時毎に現金やクレジットカード、高額になれば医療ローンで決済されるのが一般的であり、ファクタリング対象の売掛債権として保有する可能性は少ないと考えられます。

自由診療の割合の高い美容外科と保健診療の多い一般医療機関であれば、同じ月商1,000万円だとしても ファクタリング可能な金額に大きな差 が生まれることになりますね。

介護報酬でいえば実費分売上の食事代やレクレーション費用、バザー、遠足費用などが医療機関でいうところの「自由診療」に近いでしょうか。

報酬の全額は買取できない

対象報酬範囲内の全額を買取りしてもらえるわけではなく、買取率や掛け目と呼ばれる利率内での買取になります。ファクタリング会社にもよりますが診療報酬の買取率は一般業種のファクタリング買取率より低め(80%~90%前後)になりやすい傾向があります。

報酬金100万円を買取率90%でファクタリングの場合

  • 100万円×90%-手数料2%18,000円=882,000円が手元残金になる
  • 買取差額分10万円は利用者側のもの

※会社によりその他手数料あり

それは国や官庁に請求できる報酬金であっても、審査が通らないなどの理由により返戻され、必ずしも請求の全額が指定期日に支払われる保証がないからです。

例えば、受診者が退職などにより効力の切れた保険証でそのまま受信した場合や、引越しに伴い国民健康保険の自治体が変わっていた場合なども含まれます。

※ 報酬金ファクタリングは基本的に三社間であり、報酬金は元来の支払期日にファクタリング会社に直接支払われることになります。その上で、買取差額分(上の例であれば10万円)をファクタリング会社から利用施設側に支払われる形が一般的です。

圧倒的に手数料が低い

通常の売掛金ファクタリングと比べた場合の最大の違いは圧倒的な手数料の低さに尽きます。大半は三社間ファクタリングが前提になり、報酬金は元来の支払期日にファクタリング会社に直接支払われることになります。

ファクタリング会社にもよりますが手数料は『1%~3%』に落ち着いています。

なぜそこまでの低手数料が可能になっているかと言えば「取引先が国や官公庁」であり、その信頼度・安心感は一般企業の比ではありません。

通常の売掛金ファクタリングで取引先企業が経営破綻したらファクタリング会社は泣き寝入りしかありません(参考:取引先が倒産した時のリスク回避にも!)が、国や官公庁の経営破綻とはほぼ国家破綻の緊急事態であり、事業云々の前に今日、明日ををどう生き延びるのか?まさに『命を守る生き抜く行動』が求められる状況に陥ている可能性が絶大です。

ファクタリング会社にとってこれ以上リスクが低い取引先として右に並ぶ相手はいないと思われがちですが、国家破綻以外にも医療報酬・介護報酬ファクタリングには 陰に隠れたリスク が存在します。

報酬金の弱点

国税庁、税務署、年金機構の差押さえに弱いです。

これら機関からの差押えには一般企業からの売掛金に比べ、言葉は不適切だが備えるべき対抗措置が極端に弱い点が挙げられます。

極端に言えば、一般企業からの売掛金は振込ではなく現金で集金したり、振込入金後即引き出すことにより、一時的ではあるが差し押さえに対して対抗措置が取れなくはありません。

しかし、診療報酬・介護報酬は「支払い前に差押えて終了」です。

その差押えリスクが、ファクタリング会社からしたら100%回収できないかもしないリスクの根拠になっています。

報酬金ファクタリングにおける審査

一般的な売掛金ファクタリングであれば、利用する側の会社の審査は比較的甘々ですね。

利用側の「税金・労働保険・社会保険・買掛金・借入金」の滞納は大した問題ではないのに対し、売掛先の「税金・労働保険・社会保険・買掛金・借入金」が審査項目として最大の注意を持って重要視されます。

その点、報酬金ファクタリングにおいての売掛先は国や官庁なので、それこそ無審査でも問題ないと言えますが、反面利用する施設側の財務状況は、通常のファクタリング以上に慎重に審査されるのは至極当然ですね。

それでも報酬金ファクタリングの利用者側審査は、銀行からの融資・借入とは比較にならないほど通過しやすい傾向であることは間違いありません。

まとめ

やはりどの業界も資金繰り・キャッシュフローは経営者の悩みの種になってしまうのですね。

  • 取引先が国や官庁であり信頼度は抜群だから手数料が安い
  • 利用施設の税金や年金の滞納はファクタリング会社にとってリスクになる
  • 基本的には三社間ファクタリングになる
  • 自由診療の割合が多い医療機関は売上高に対しファクタリングできる金額が低くなる

こういった点が医療報酬・介護報酬ファクタリングの特徴になりますね。

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